『音楽が導く宝物』トイ♪トイ オーケストラ!2026


こんにちは。
今回トイトイオーケストラ「バックステージツアー」と「アナウンス体験」の制作を務めました、齊藤舞夕です。

8/21(金)、JCOMホール八王子にて、「トイ♪トイ オーケストラ!」が開催されました!

ぱちぱちは今回、このイベントの中で行われた「バックステージツアー」と「アナウンス体験」の企画制作を行いました。

このレポートは、2つの企画がどのように生まれ、本番を迎えたのか、主に「バックステージツアー」を中心としながら、齊藤の視点で創作過程を記録に残すためのものです。

「トイ♪トイ オーケストラ!」とは?


「トイトイオーケストラ」は、毎年JCOMホールで開催されている鑑賞イベントです。
オーケストラの鑑賞だけでなく、体験イベントも同時開催されており、抽選で選ばれた子どもたちが「バックステージツアー」「楽器体験」「指揮者体験」「アナウンス体験」に参加することができます。

八王子市、日野市に在住・在学の4歳から18歳までの子ども・その保護者が対象で、
毎年定員を大きく越える応募があり、抽選となる人気イベントです。

バックステージツアー『音楽が導く宝物』

「能動的なバックステージツアー」とは?


今回私たちが企画制作の上で大切にしたのは、

「バックステージツアーの中に、いかに子どもたちを巻き込むか」

ということでした。
ただガイドの説明を聞いて劇場の裏側を見学するのではなく、
演劇の力を使いながら、参加者が「体験した」と思えるような構造を持ったツアーです。

これまで演劇ネットワークぱちぱちは、お客さまとのエネルギーの交換を大切にしながら、
観客参加型の企画・作品を多く生み出してきました。

今回もその実績を踏まえ、ツアーを創作してほしいと期待を寄せていただき、制作する運びとなりました。


ではツアー型の演劇を上演すればいいか、というと、そうでもありません。
参加者は演劇を観に来たのではなく、「音楽を楽しみたい」「劇場の裏側を見学したい」と思って応募してきたのです。

大切なのは、参加する子どもたちに、普段観られない劇場の裏動線や、音楽のことを楽しく知ってもらうこと。

だからこそ、今回はあくまでも「演劇要素を取り入れた、音楽をテーマにしたバックステージツアー」を創作する必要がありました。


そして、このバックステージツアーはコンサートの開演前に行われるため、
「これからのコンサートが楽しみになるようなツアー」でなければならない、
とも考えました。

おんぷくんときゅうふちゃん


まず最初に、「音楽」というところから着想を得て、
バックステージを案内するキャラクター「おんぷくん」「きゅうふちゃん」が生まれました!

みんなを楽しく先導してくれる「おんぷくん」と、
休符だから音は出せないけど、全身を使って音楽のことを伝えてくれる「きゅうふちゃん」。

ツアーのガイド役でありながらも、表現力が必要となるこの役は、
ぱちぱちメンバーの奥山樹生さん(おんぷくん)と、大久保佑南さん(きゅうふちゃん)にお願いしました。

どうしたら演劇要素を入れられる?


参加者に能動的な参加を促すために、ツアー中にクイズを出題することは決めていたため、
まずはどんなクイズを出題するかを話し合い、そのクイズをどんな物語で繋げるかを考えていきました。

しかし、物語要素を膨らませようとすると、導入部分が長くなり、
肝心なバックステージツアーが中々始められなかったり、

おんぷくんときゅうふちゃんがクイズを出す必然性が迷子になってしまうなど、、

演劇とクイズ、近しいようで意外と遠いという事実に直面し、頭を悩ませました。


……しかしあるとき、

外部から2人に指示を出す人がいればいいのでは?という案がひらめき、
正体不明の「なぞの音楽家」が生まれました!

なぞの音楽家、誕生!


これにより、創作スピードが一気に上がり始めました。
「なぞの音楽家」ならこんなこと言いそう!と明確にイメージが立ち上がったからです。

バックステージツアーをもっと楽しくするために、ツアーの参加者に向けてクイズを用意したという「なぞの音楽家」。
ツアーはなぞの音楽家から手紙が届くところから始まります。

『全問正解したら、君たちの前に素晴らしい宝物が現れるだろう!』

おんぷくんときゅうふちゃんは、クイズに全問正解してその宝物を見つけるべく、
参加者と共に、バックステージツアーを先導する……。


こうしてツアーの方向性が固まりました!


クイズの内容は、ホールや音楽にまつわるもの。
参加者がホールを巡り、クイズを解いていくことで宝物に辿り着く、ということで、

タイトルは『音楽が導く宝物』に決まりました!

膨らんでいく物語


今回バックステージツアーを行うにあたり、
自分たちが今どこにいるのか、参加者全員で確認できるような大きなマップ、当日配布するパンフレットや、最後に辿り着く宝物などを製作しました。

デザインをお願いしたのは画家・イラストレーターのサクマユウコさん。

完成台本を読んでいただき、そして実際にホールを下見していただいて出来上がったマップがこちら!!
Jcomホールはビルの4階から8階にあるということで、なんと!雲の上にある劇場を描いてくださいました。
タイトル『音楽が導く宝物』から、パンフレットの表紙に描かれた音符が段々と足跡に変わっていく……という素敵なアイデアまで入れ込んでくださいました!


こうして、バックステージツアーはどんどん形になっていきました。

当日の様子


当日は未就学児の子から中学生まで、幅広い年齢層の子どもたち21名が集まりました。

おんぷくんが読み上げるクイズや私たちの誘導を聞く姿は、静かで真剣そのもの。

クイズの場所に到着すると「クイズだ!」と反応してくれたり、積極的に手を挙げてくれたりなど、
皆さんとてもしっかり参加してくれました。


そんな中、全てのクイズを終えて、最後ロビーに宝箱が出現すると
「わっ!」と子どもたちが集まり、
目を輝かせて反応していたのが印象的でした!


アナウンス体験


アナウンス体験は、開演前に実際に舞台袖で順番にアナウンスを行います。
そのため、「誰に、どのように伝えるか?」をテーマに、参加者がやりたいことをファシリテーターがサポートする、という形の構成にしました。

奥山さん、大久保さんには、アナウンス体験のファシリテーターも務めていただきました!

場内アナウンスで、お客さんに何を伝えたい?


最初に自己紹介を終えたのち、奥山さんと大久保さんが、簡単なレクチャーを行いました。
そして、「どんなふうにアナウンス原稿を読みたいか」を参加者一人一人に考えてもらい、それを踏まえて、それぞれが担当するパートについて、各自で原稿を読む練習を行いました。

全員での練習を終えたらいよいよ本番!
舞台袖に移動し、一人ずつマイクの前で原稿を読んでいきます。

「アナウンスをやりたい!」と応募してきただけに、皆さん気合い充分!
交代しながら、5人それぞれの担当パートを読んでいきます。

全部で原稿を3周したのですが、1回目より2回目、2回目より3回目と、どんどん良くなっていきました。

短い時間の中ではありましたが、終了後、5人の皆さんが満足そうな顔をしていたことで、
皆さんが思うゴールにそれぞれ辿り着けたであろうこと、そしてそのサポートができたことを、とても嬉しく思いました。

参加したぱちぱちメンバーの声

おんぷ役 奥山樹生


バックステージツアーは「舞台の裏側をみんなで知る」以上の豊かな経験になりました。
最初、参加者の子どもたちは、保護者と離れ、知らない面々に囲まれ、緊張の面持ち。ただ、ツアーを続けると共に、口数が増え、目が合い…緊張が解けていくのを見ることができました。
ガイドと参加者の関係は、単にガイドする/される というよりは、会場を媒介にコミュニケーションを取ることで信頼関係を深めるものでした。「ここはなんだろう?」とか「階段に気をつけてね」などの言葉を通し、信頼関係を構築していきました。

アナウンス体験は、参加者の発見や気づき、努力と成長を間近で感じました。特に、アナウンス原稿の個別練習。参加者とサポートする大人とのマンツーマンで、サポートする側の緊張もありました。ただ、参加者が誠実に取り組む姿に、感動してしまいました。その上で、ちゃんとフィードバックをするように努めました。そして、すぐにフィードバックを反映させ読み上げる参加者。ついつい、「素晴らしい」と口にしたらなんだか嬉しそうで、「嬉しいのはぁ!こっちだー!」と叫ぶのを必死で堪えました。

きゅうふ役 大久保佑南


バックステージツアーでは、きゅうふちゃんという役で参加させていただきました。
きゅうふちゃんは、その名の通り「音が出ない=喋らない」役だったので、身振り手振りでコミュニケーションを取ることがとても新鮮で、何より楽しかったです。
参加者の皆さんとクイズに正解し、一緒に宝箱を開ける時に、みんなで中を覗き込んで喜びを共有できた瞬間が、とても印象に残っています。

アナウンス体験では、皆さんが緊張した面持ちでマイクに向かった後、達成感に満ちた表情を見せてくれました。
初めて目を通す原稿にもかかわらず、短い練習時間の中で、大きなホールで堂々とアナウンスする姿には、私自身も勇気をもらいました。

おわりに


お客さまに楽しんでいただくには、まず創作する自分自身がワクワクすること。そして、その作品を面白がれるかどうか。
何かを創る上で、それが一番大切なことかもしれないと気付かされた創作期間でした。

初期の段階では、物語に整合性をつけることや、クイズを出す必然性ばかりを考えていて、
自分たちにとって面白いかどうか、は二の次でした。
けれど、その気持ちと比例するように作品も行き詰まってしまったように思います。

反対に、これは面白いかも!と思った瞬間、アイデアが湧き、創作が勝手に走り始めました。
多少の矛盾は気にならなくなり、自分たちが面白いと感じるものを、どうやったらもっと膨らませられるか、
どうすればお客さまにこのワクワクを共有できるだろうかと、良いほうへ良いほうへと考え進めることができたのです。

当日、マップを真剣に見る子どもたちや、宝箱を開けた瞬間の子どもたちの表情を見たとき、
「伝わった……!」ととても嬉しい気持ちになりました。

創作に関わってくださった皆さま、ツアーの世界を一層豊かに膨らませてくださったサクマさん、
そして当日参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました!

「トイ♪トイ オーケストラ!」イベント概要

日時

2026年8月21日(金)開演15:00

バックステージツアー 11:20〜12:20
アナウンス体験    14:00〜14:45

会場

JCOMホール八王子(八王子市民会館)

クレジット


出演:奥山樹生、大久保佑南

マップ・パンフレットデザイン:サクマユウコ

バックステージツアー『音楽が導く宝物』
制作・創作:寺原航平、齊藤舞夕

アナウンス体験
制作:齊藤舞夕

写真:築地孝典、熊谷義朋


プロデューサー:辻 寛子